ごあいさつ
「肩が上がらない」「夜、痛みで目が覚める」といった肩のトラブルは、日常生活の何気ない動作を困難にし、大きなストレスとなります。いわゆる「五十肩」だと思って放置していた症状の裏に、腱板断裂などの疾患が隠れていることも少なくありません。
当外来では、肩関節の構造を熟知した専門医が、正確な診断に基づき「痛みの原因」を根本から解決することを目指します。
関節鏡手術に関しては肩・膝・足関節関節鏡手術センターのページをご参照ください。
概要
肩専門外来で扱う主な疾患
肩関節外来では、肩腱板断裂、肩関節周囲炎(五十肩)、反復性肩関節脱臼、変形性肩関節症、石灰沈着性腱板炎などの疾患を専門に診療しています。 診察・画像検査(MRI等)による徹底した診断を行い、患者様の年齢、活動性、ご希望を考慮した上で、お薬やリハビリテーション、あるいは関節鏡を用いた低侵襲な手術など、最適な治療法を導き出します。
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肩腱板断裂
肩を支える筋肉の腱が切れる病気です。放置すると断裂が広がり、筋力が低下することがあります。有症状期間やご希望に合わせ手術加療を検討します。まず低侵襲な関節鏡視下手術を優先しますが広範囲断裂に対するリバース型人工肩関節全置換術も行っています。

- 五十肩(肩関節周囲炎)
関節の袋(関節包)を中心に炎症が広がり関節の動きが硬くなる状態。専門外来では難治症例に対し関節鏡手術(鏡視下関節包切離手術)が検討できます。 -
石灰沈着性腱板炎
肩腱板の中やその周囲、骨の表面にカルシウムの結晶(石灰)が溜まって激痛を伴うものです。通常は薬や注射、体外衝撃波治療などで軽快しますが、長期化した際は手術も適応になり、関節鏡視下での石灰除去手術を検討します。
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反復性肩関節脱臼
脱臼を繰り返し、スポーツや日常生活に支障が出る状態です。状態にあわせまずは鏡視下バンカート修復手術を検討します。
- 変形性肩関節症
関節軟骨がすり減り、肩関節が変形して痛む状態。人工肩関節の適応を検討します。
特徴
身体に優しい「関節鏡視下手術」
当外来では、数箇所の小さな穴からカメラと器具を挿入して行う「関節鏡視下手術」を中心に行っています。従来の大きく切開する手術に比べ、正常な筋肉へのダメージが非常に少なく、術後の痛みの軽減と早期の機能回復を可能にしています。
高性能の4Kカメラで肩の内部を詳細に確認しながら治療を行う「関節鏡視下手術」に特化しています。
わずか数ミリの穴を数箇所開けるだけで手術を行います。従来の大きく切る手術に比べ周囲の筋肉を傷めないため術後の痛みが少なく、回復が早いのが特徴です。
関節鏡は膝関節、足関節にも導入され、当院では各専門医が診療し手術を行っています。
当院では2台の関節鏡システムを導入し、連日の複数回手術に対応できる体制を整えています。


難治性症例に対する「リバース型人工肩関節全置換術」
腱板断裂が広範囲に及び、従来の手術では改善が困難だった患者様に対しても、特殊な構造を持つ「リバース型人工肩関節置換術」を行うことで、痛みの解消と腕の挙上能力の回復を目指します。
仕組み
通常は「腕側がボール、肩甲骨側が受け皿」ですが、これを逆にします。これにより、腱板が切れて機能していなくても、三角筋(肩の表面の筋肉)の力だけで腕を上げられるようになります。
対象
広範囲な腱板断裂で修復が不可能な場合や、それによって生じる特殊な関節症(腱板断裂性関節症)などが主な対象です。
メリット
従来の人工関節では改善が難しかった「腕が全く上がらない状態」からの機能回復が期待できます。
応用①
上腕骨骨折に対するリバース型人工関節置換手術
これまで高齢者の複雑な上腕骨骨折には「骨を固定する手術(プレート固定)」や「通常の人工関節(半置換術)」が行われていましたが、骨がくっつかなかったり、肩が上がらなくなったりするトラブルが少なくありませんでした。
RSAの導入により、骨が非常にもろい高齢者や、粉砕が激しく従来の手術では回復が見込めないケースにおいて、「術後早期から腕を上げられる」劇的なメリットが得られるようになりました。
以来、良好な成績が報告されたことで現在では高齢者の複雑な上腕骨近位部骨折において、非常に一般的な選択肢の一つとなっています。
応用②
患者さんの骨の形に合わせるオーダーメイド・リバース型人工肩関節
ジンマー・バイオメット社が提供するPMI(Patient Matched Implant)というシステムはCTスキャンデータをもとに、患者さんの複雑に変形・欠損した肩甲骨の形に完璧にフィットする土台(ベースプレート)を設計・製造します。既製品では固定が難しいほど骨が大きく削れていたり変形していたりする難症例が対象で骨との接触面を最大化できるため、既製品では設置困難だったケースでも強固に固定し安定した機能を再建することが可能です。

専門の理学療法士による「肩専門リハビリテーション」
肩の治療において、術前後のリハビリテーションは手術と同じくらい重要です。新病院では、肩関節の特性を熟知した理学療法士が、一人ひとりの回復段階に合わせたオーダーメイドのリハビリプログラムを提供し、可動域の最大化を支援します。
再発予防を見据えたトータルサポート
一時的な除痛だけでなく、肩に負担がかかる「体の使い方」の改善やセルフケアの指導にも力を入れています。新病院の充実した環境で、治療後も長く健康な肩の状態を維持できるよう、地域に根ざしたフォローアップ体制を継続してまいります。
なかむら さとし
中村 智
| 資格 | 日本整形外科学会専門医 日本スポ-ツ協会認定スポ-ツドクタ- |
|---|---|
| 専門分野 | 人工肩関節 |
肩関節手術実数
2025.1/1~12/31
| 術式 | 計 |
|---|---|
| 肩関節鏡視下手術 | 71件 |
| 鏡視下腱板修復術 | 71件 |
| 鏡視下関節唇修復術 | 0件 |
| 観血的腱板修復術 | 0件 |
| 肩人工関節手術 | 14件 |
| 人工骨頭置換術 | 0件 |
| 人工関節置換術 | |
| 反転(リバース)型 | 14件 |
| 通常型 | 0件 |






