人工関節センター

平成元年に旭ヶ丘の地で産声をあげた、前身の香芝旭ヶ丘病院が、整形外科の病院として地元だけでなく全国区で名を連ねることができたのは、まさに人工関節、特に人工膝関節置換術手術において先進的な手術法を行ってきたことに端を発します。
これまでに何千もの人工関節手術を行ってきた当院が、令和8年に更なる進歩を遂げます。

人工関節とは?

最近は多くの方が耳にしたことのあると思いますが、人工関節とはその名の通り、傷んだ関節の軟骨を、その近傍の数ミリの骨と一緒に削り取り、人工物に置き換える手術です。

そう聞くと、重くないの?肉巻かないの?雷が落ちやすいとか?擦り減らないの?とか様々な疑問が起きるでしょう。これまでも、関節の痛みに対して、色々な手術法が行われてきました。

人工関節はその中でもトップクラスに患者様満足度の高い手術です。
手術を受けた多くの方に満足した生活をしていただくための手術です。

人工関節手術は当院以外でも受けていただくことは可能です。

当センターについて

人工関節センターは、前身の香芝旭ヶ丘病院以来、人工関節、とりわけ人工膝関節置換術で培ってきた歩みを土台にしています。術前の全身チェックと綿密な計画、手術中の計測・機器活用、そして術後も続くフォローまで、多職種が一丸となって支えます。

スタッフ全員が相当の矜持をもって、一人一人の患者様に向き合っています。「さすがセンター!」といわれる治療を目指します。

当センターポリシー

高清会品質 おこがましい言い方ですが、それを意識して、たゆまぬ努力でベストを尽くします。
喜んでもらう喜び 患者様が喜ぶと、みんなうれしいのです。それを目指すのが我々の使命です。
我包帯す、神、治し賜う 外科医が増長してはいけません。世の中に神の手はいません。
我々は人の手で神様が治してくれるところに近づけているだけです。

過去五年間の実績

膝関節 股関節 その他
(足・肘・肩)
2021年 298 81 8 387
2022年 259 104 11 374
2023年 295 115 7 417
2024年 292 129 20 441
2025年 244 122 17 383
過去5年間 1388 551 63 2002

当院の専門治療

当院の人工関節センターでは、関節の痛みや動かしにくさに対し、診断から治療、術前準備、手術、術後のリハビリ・フォローまでを多職種で支え、無理のない回復を目指します。
膝は歩行や階段動作に直結する関節として、股関節は体重を支える要として、肩は腕を上げる・回す動きの要として、それぞれ特性と生活への影響が異なります。症状や目的に合わせて、膝・股関節・肩の専門外来で丁寧に評価し、適した治療方針をご提案します。

安全性のための試みと
手術方法・バックアップ体制

安易に人工関節をしてはいけない!

人工関節手術は、もし受けないで済むならそのほうがいいでしょう。しかしどうしてもつらい時、少しでも安全に受けていただく事が大切です。そのために当院では様々な試みを行っています。術前に全身のチェックを行います。おそらくほかの施設よりも検査項目は多いかもしれません。しかし、綿密に全身の状態をチェックすることは、手術、および術後に安全であるためには必要です。内科、循環器内科によるチェック、前医との連携、麻酔科医による面談などを行っています。さらに以下のような検査・手術を行っています。

術前3次元テンプレートによる
シミュレーション

あらかじめパソコン上で、どのように手術を勧めるか、サイズはどうかなど、一人一人の手術の前にシミュレーションします。

様々なテンサーや
ナビゲーションシステム

手術中に様々なデバイスを使用し、適切なサイズ、方向、位置などを把握しながら手術を行います。

ロボット支援手術

最新鋭のロボットVELYSも導入し、人工膝関節置換術を行っています。

少しでも低侵襲な手術を心がけます。人工股関節では筋肉を切らない手術、人工膝関節でも少しでも筋肉などの軟部組織に侵襲を加えない手術を心がけます。また通常の人工膝関節に加えて、部分置換、金属アレルギー対応機種、靭帯温存人工膝関節、再置換など様々な手術を行っております。

安心・安全に
受けていただける環境

多くの人工関節手術を経験しているのは医師だけではありません。
手術室の看護師はもちろんのこと、外来や病棟の看護師も経験豊富です。看護師以外にも、理学療法士、放射線技師など、多くのメディカルスタッフが人工関節手術の経験をたくさん積んでいます。だから、当センターはみんなで一生懸命、人工関節という治療方法に取り組んでいます。安易に考えていません。安心安全に受けていただく準備をしています。

執刀医の心のうち

人工膝関節の手術を行うとき、必ずしも完璧にできる(野球で言うところのホームラン)とは限りません。
しかしプロとして、ホームランは毎回打てないにしろ100%のヒットを打たなければそれは
“医道上”不満足です。99%のヒットは1%のアウトが存在するということです。
その1%に当てはまってしまった患者様には申し訳が立ちません。
本当の外科医は決して自分では完璧だなんて思いません。
よく執刀医が患者様、ご家族の前で「手術は完璧でした」と言うことがありますが、これはあくまでも患者様のためを思って発する言葉です。外科医は慢心してはダメで、些細なことであっても常に自らの未熟さを認識しなければなりません。己の未熟さを知ることで外科医はさらに進歩します。

フランスの外科医パレ(Ambroise Pare)の有名な言葉に「我包帯す、神、癒し賜う」というのがあります。 外科医の慢心をいさめ、謙虚さを尊ぶ名言で、本当にそのとおりだと思いますが、もうひとつ、加えるべき言葉があります。
「我包帯す、患者努力す、そして神、癒し賜う」
やはり術後、がんばって動かして、歩いている患者様はいい術後結果を得ることができます。
一方、まったく自発的にリハビリをなさらない患者様は、それなりに動きが悪いようです。
治りたい気持ち、治したい気持ちはとても大切です。ただこれは、ご本人の気持ちやモチベーションだけで なく体を動かすのが精一杯で、意欲も減退されてから手術を決心なさる超高齢の患者様が増えてきたので、 一概に努力だけではいかんともしがたい面があります。しかし比較的若い方は、 とにかく術後リハビリをがんばってください。
手術はいつごろうけるべきか?
とても難しい問題です。実際の多くの手術を経験してきた担当医と相談するのがいいと思います。
多くの患者様は、人工関節置換術は一度受けていただければ、入れ替え(再置換)は不要です。
しかし若くして手術を受けられた場合、おそらく長期間活発に膝を使う ので途中で再置換は必要でしょう。それでも場合により50歳代で手術を勧めることもあります。
あまり長い間手術をせずに我慢することはいい考えではないと思います。
我慢した期間、辛い人生を送ることになりかねないからです。
筋力、気力、そして未来の豊かな生活がまだ十分残っているうちに手術を受けるべきだと考えております。
とにかく早くよくなって、少しで長く豊かな生活を送ることができれば。。。。と思っております。
当院の人工関節手術の特徴は、ほかのどの病院よりもきっちりとした術前計画のもと、緻密な計測に基づいて手術を行っております。術後も詳細な調査を何年も続けています。
人工関節手術は退院して良くなって「ハイ終わり」ではありません。
ご縁があって手術をお受けになった患者様とは一生のお付き合いになります。
“一生の責任を持って診てゆく、その始まりが手術である”というのが我々のポリシーであり、 一人の執刀医が責任を持って手術できる件数は年間150関節くらいじゃないかと考えております。
最後に、ここ1年、以前にも増して多くの患者様がおいでになりました。
私共のところで手術が終わった患者様のうち、何人の方が100%の満足を得られたでしょうか?
残念ながら手術前の想像していたほど結果が芳しくなかった方もいらっしゃるでしょう。
そういう方に、私共は何をして差し上げることができるのか? きっと一緒に歩むことであると考えております。
多くの専門病院が(残念ながら)そうであるように、手術終了してそれで“主治医-患者関係は終わり” ではなく、今よりも少しでもよくなるように、一生涯ともに考えていきましょう。

藤井 唯誌