立ち上がる時に膝が痛む、階段の上り下りが辛い、あるいは股関節が硬くなって靴下が履きにくいといった症状は、日常生活の質(QOL)を大きく左右する悩みです。こうした関節の痛みや動きにくさは、加齢による変化だけでなく、骨や軟骨の病気が隠れていることも少なくありません。
この記事の内容は一般的な情報です。患者さんによって症状の程度や原因は異なるため、気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関に相談してください。
膝や股関節の痛みが生じるメカニズム
膝や股関節は、歩く、立つといった人間の基本動作を支える「体重支持関節」と呼ばれます。正常な関節では、骨の表面を覆う「軟骨」がクッションの役割を果たし、さらに「関節液」が潤滑油となることで、滑らかな動きを可能にしています。
しかし、何らかの理由で軟骨がすり減ったり、関節の中で炎症が起きたりすると、骨同士が直接ぶつかり合うようになり、強い痛みが生じます。また、痛みを避けるために動かさないでいると、周囲の筋肉や靭帯が硬くなり、さらに関節の可動域(動かせる範囲)が狭まるという悪循環に陥ることがあります。
主な原因・背景
膝や股関節の痛みが生じる背景には、いくつかの代表的な疾患があります。
変形性関節症
最も多い原因の一つです。長年の使用や体重による負荷、加齢によって軟骨が徐々にすり減り、関節が変形していく病気です。
- 変形性膝関節症: 膝の内側の軟骨がすり減り、O脚が進むケースが多く見られます。
- 変形性股関節症: 股関節の受け皿が浅い「寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)」を背景に発症することが多いのが特徴です。
骨壊死
骨の血流が滞ることで、骨の組織が死んでしまい、潰れてしまう状態です。特に股関節の「大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)」が知られています。
関節リウマチ
免疫の異常によって、自分自身の関節を攻撃してしまう病気です。複数の関節に炎症が起き、放置すると関節の破壊が進みます。
怪我の後遺症
過去の骨折や靭帯損傷、半月板損傷などが原因となり、数年〜数十年後に変形性関節症へと進行することがあります。
代表的な症状
以下のような症状は、関節に何らかのトラブルが起きているサインです。ご自身の状態を確認する目安としてください。
- 動き始めの痛み: 朝起きて歩き出す時や、椅子から立ち上がる時に痛みを感じる。
- 階段での痛み: 特に下り階段で膝や股関節に強い痛みや不安感がある。
- 可動域の制限: 正座ができない、爪切りや靴下の着脱が困難になる、股関節が開きにくい。
- 変形と腫れ: 膝が腫れてお皿の周りがぼやけて見える、膝が外側に開いてきた(O脚)、左右の足の長さに差が出てきた。
- 歩行の変化: 長い距離を歩くと痛む、足を引きずるように歩くようになる。
受診の目安
痛みがあっても「歳だから仕方ない」と我慢してしまう方が多いですが、早期の対応が選択肢を広げます。
速やかな受診が必要なケース(外傷や急性炎症)
- 転倒してから全く足がつけない。
- 関節が赤く腫れ上がり、熱を持っていて、全身の発熱も伴う。
医療機関への相談を勧めるケース
- 市販の痛み止めを飲んでも、痛みが数週間以上続いている。
- 痛みで夜中に目が覚めることがある。
- 買い物や散歩など、今まで普通にできていた外出を控えるようになった。
- 足の付け根や膝が急に動かなくなり、強い痛みがある。






